迫りつつある大地震に対する備えは十分できているか?

最近の著書 ”Law and Disaster: Earthquake, Tsunami and Nuclear Meltdown in Japan” (1st edition, London: Routlegde, 2018) において、松井教授は、東日本大震災に対する日本の政府の対応を検討している。日本の法制度、耐震政策、インフラは、この震災に対する備えとして十分ではなく、日本の弱点が見事に明らかにされたという。この著書は、このような失敗を吟味し、これらから日本および諸外国がどのような教訓を学ぶべきかを考察している。

この著書に関して松井教授にお尋ねする機会を持った。

Q どうして東日本大震災から生じた法律問題を検討しようと思われたのですか?

A 日本は、世界中の国の中で巨大地震や津波に対して最も備えが整っている国だと考えられています。ところが東日本大震災は、日本の備えが極めて不十分だったことを明らかにしました。一体何がいけなかったのか、巨大な自然災害に対する備えとしてどのようなことをすべきだったのか。これを明らかにしたかったのです。日本の経験から教訓を学ぶことは、諸外国にとっても極めて重要だと思ったからです。

Q 一体どのような問題が東日本大震災の結果として生じたんでしょうか?

A 大震災の結果、ほぼ2万人の方が亡くなったり、行方不明となりました。日本の政府は、このような多くの死者に対応する備えができていませんでした。行方不明者の家族も、生命保険を受け取るためには少なくとも1年間待たなければならなかったはずです。その上45万人も人が避難を余儀なくされました。そのうちの多くの人は家を失いました。政府は、避難場所を提供し、さらに家を失った人に仮の住居(仮設住宅)を提供し、そして恒久的な住居を確保しなければなりませんでした。ところが政府の備えは十分ではありませんでした。政府はまた生じた膨大な量の津波の残したごみを収集し処理しなければなりませんでした。これらは大震災の後生じた法律問題のうちの氷山の一角にすぎません。

Q 大震災に見舞われた地域の復興をはかるために、政府はどのような問題可決策を取ったのでしょうか?

A ごみを片付けた後、それぞれの地域は中央政府の補助のもとで復興を図りました。ただ、以前の状態に戻すだけでは不十分であるため、復興には大きな困難が伴いました。しかも復興のための道筋が定まっていませんでした。政府とすれば、被災地域が、さらに経済的に発展していけるように確保しつつ、必ずや襲ってくる次の巨大地震や津波に耐えられるような復興を図らなければなりませんでした。

Q 日本はこの大震災からどのような教訓を学び、その結果をどのように法制度や政策に生かしたのでしょうか?

A 日本は、この大震災から、多くの教訓を学びました。それには、千年に一度生じるかもしれない異例の巨大地震や津波にも備えることの必要性と、大震災後の対応にも備えることの必要性、大震災後の復興の準備もしておくことの必要性が含まれます。政府は、これらの教訓を生かすために多くの法律を改正し、対策を強化するための方針も変更しました。でも、被害にもかかわらず、変更されていないことも多く残されています。このような日本の法と政治のより深い問題点にどう対処するのかが、日本に課された最大の課題だと思います。

Q この大震災に対する日本の対応からブリテッシュ・コロンビアは何を学び、迫りつつある「巨大地震」に備えることはできるでしょうか?

A 政府は、建造物の耐震基準を引き上げ、非常事態の避難や救難準備に備え、大震災後の対応や復興についても備えなければなりません。そのためにはきちんと法律を整備し、それぞれについてはっきりとした政策を樹立し、対策が実際に執行されるよう確保しなければなりません。そこには、日本から学ぶべき教訓がたくさんあると思います。

松井教授は、アラード・スクール・オブ・ローの日本法研究プログラムの所長である。憲法、マス・メディア法及びインターネット法の専門家として国際的に有名。ブリテッシュ・コロンビア大学の前は、大阪大学高等司法研究科の教授で、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の委員、司法試験考査委員などを何年も勤めました

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Professor Shigenori Matsui

Professor Shigenori Matsui is Director of Japanese Legal Studies at the Allard School of Law. He is an internationally renowned expert in the fields of Constitutional Law, Mass Media Law and Internet Law. Before joining UBC, he was a professor at Osaka University Law School. He has served for the Japanese government as a member of the National Freedom of Information Review Board, and as an examiner for the National Bar Examination Commission.

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